先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
青いスリッパを砂だらけにしながら、大きく大きく書いてくれた名前。
嬉しくて、その文字を見つめたまま泣きそうになる私を見た先輩が
『カレン』の『ン』を消して…
『カレー』にした。
吹き出した私を見て、先輩は満足そうな表情で手を振った。
6時間目、もう一度その文字を見た。
『カレー』が『カレシいる?』に変わっていた。
それは、絶対に誰かのいたずらで、先輩が書いたわけじゃない。
わかっていたけど、喜んでしまう私がいた。