先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
体育館の椅子の片付けをしながら、まだ信じられないでいた。
先輩はもう卒業したんだ。
パイプ椅子の冷たさが手に残る。
緑色のシートを丸めながら、
卒業式が終わったことを自分に言い聞かせた。
おしまいだよ、可憐。
可憐の恋は今日でおわりだよ…
楽しかったね。
ドキドキしたね。
たくさん嬉しいことあったね。
でも明日から先輩はいないんだよ…
だから今日でおしまい。
可憐の初恋、今日でおしまい。
可憐の恋の卒業式…