先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
先輩達の前に登場した私の目には涙が溢れていた。
先輩を想って走っていたら、自然に溢れていたんだ。
『れん!お前が泣かした~!!』
先輩の一番仲良しの友達が、先輩の背中を押した。
少し照れた表情で、先輩が私に近付いた。
『よぉ…!あっち行こっか』
冷やかす友達に先輩は、『うるせーって!』って言いながら、校舎の中へ入った。
走ったせいで、ドキドキが今までで最高だった。
追いついた友達は私と先輩を見つけて、走ってその場を離れてくれた。
静まり返る廊下。
靴箱にもたれた先輩。
2人きり。