先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
『先輩…思い出に第2ボタンくれませんか!!』
上ずった声に真っ赤な顔…
『来るの遅いよ!見てよ、これ!』
先輩は羽織った学ランを私に見せた。
先輩の第2ボタンはもうなかった。
第2ボタンどころか、全部のボタンがなくなっていた。
『あ…もう全部あげちゃったんですね…』
ボタンなんてもらえなくても良かった。
最後に先輩と話せたから。
うつむいた私の顔を覗き込んだ先輩が…
優しい声で言った。
『第2ボタンの代わりに…俺はどう?』