先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
先輩の目は茶色くて綺麗。
目が合ったまま、動けなくなる。
先輩が何を言ったのか理解できないまま、ただ先輩の目を見ていた。
『カレン…だよな?俺じゃ不満?』
靴箱にもたれた先輩は、腕を組んで、天井を見上げた。
『先輩…今、なんて??』
『第2ボタン、全部あげちゃったから…これやるよ。』
先輩は、赤いパーカーを脱ぎ出した。
Tシャツ1枚になった先輩がその上に学ランを着て、私にパーカーを渡した。
ずっと見ていた赤いパーカーが自分の手の中にあることが信じられなかった。