先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
赤いパーカー
私の名前は可憐。
花が好きだった両親がつけた名前。
この名前が大好きになったのは、『赤いパーカー』のあの人の名前を知った日。
全校生徒が集まる終業式で
やっと見つけることができた赤いパーカー。
スリッパの色は青。
この高校は学年によってスリッパの色が違う。
1年は緑、2年は青、3年は茶色。
心の中では、あの人は3年生じゃないかと思っていた。
青を見た瞬間、嬉しくて友達に抱きついた。
今でも忘れない。
暖房のない寒い体育館の中で、感じたあの熱い想い。