先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
『もらっていいんですか?この赤いパーカーずっと見てました。嬉しいです!!』
『それと一緒に、俺もいかが?』
先輩が右手を差し出した。
何が起こっているのかわからずに、夢の中のようにフワフワと浮いている気分。
その右手に私も右手を差し出してそっと乗せた。
握手…
大きな手で握手をしてくれて…
『交渉成立!!今日から、カレンは俺の彼女な!』
先輩が私の右手を引き寄せて、私の頭に手を置いた。
『お~い!!聞こえてる?』
先輩は手を左右に動かして、私の頭をぐるぐる回す。