先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】



『もらっていいんですか?この赤いパーカーずっと見てました。嬉しいです!!』




『それと一緒に、俺もいかが?』




先輩が右手を差し出した。




何が起こっているのかわからずに、夢の中のようにフワフワと浮いている気分。




その右手に私も右手を差し出してそっと乗せた。




握手…


大きな手で握手をしてくれて…


『交渉成立!!今日から、カレンは俺の彼女な!』



先輩が私の右手を引き寄せて、私の頭に手を置いた。



『お~い!!聞こえてる?』



先輩は手を左右に動かして、私の頭をぐるぐる回す。




< 30 / 34 >

この作品をシェア

pagetop