先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】

靴箱からは砂の匂いがした。


赤いパーカーを抱きしめたまま、私はただ首を縦に振った。



『ずっと、気になってたんだ。カレンのこと…』



『嘘… 私、ずっと先輩のこと好きでした。毎日見てました。信じられない…』




頭に乗せられた手が背中に回された。




ほんの一瞬の出来事。


短いけれど、抱きしめてくれた。







< 31 / 34 >

この作品をシェア

pagetop