先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
『明日から、赤いパーカー着て登校しろよ~!俺のパーカー引き継いでくれよ!』
先輩はいたずらっぽく笑って、私の頭を撫でた。
『無理です!!恥ずかしいし、大きすぎて着れないです!!宝物にします!』
背の高い先輩を見上げる小さな私。
先輩は ニコって笑って言う。
『レンとカレン…きっと運命だな…』
校舎を出た私達を待っていたのは、先輩の友達と私の友達。
様子を覗いた先輩の友達がみんなに話していたせいで、
みんなが『おめでとう!!』と祝福してくれた。
大好きな友達が泣いてくれていた。
そして、写真を…
撮ってくれた。
ボタンの無くなった学ランを着た先輩と
赤いパーカーを持った私。
右肩に置かれた先輩の手が嬉しかった。