先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
先輩との入学式~END〜
今日で終わるはずだったんだ。
この恋が卒業式を迎えるはずだったんだ。
それなのに…
始まったんだね。
今日が私と先輩の入学式だ。
先輩と私の恋の入学式。
卒業の記念に友達とカラオケに行った先輩がその夜、電話をくれた。
教えたばかりの携帯番号にかかってきた先輩からの電話。
その電話で初めて知った。
『カレン』を『カレー』に書き換えた先輩は、
『カレシいるの?』と書いて、私の教室をこっそり見ていたんだと…
いたずらじゃなく、書いたのは先輩だったんだ。
先輩は彼女とは、そんなに長く続いていなかったんだと教えてくれた。
あの時、もしその私が『いないです』って手で×マークを作っていたら、
どうなっていたんだろうね。
でも、今が幸せだからそれでいい。
長い長い片思いがあったからこそ、今こんなにも幸せなんだ。