闇の天使~月夜の天使・番外編
一瞬冷たい風が私の頬に触れて通り抜けた気がした。
「あれは、シオンだ」
風が吹いていった方向から、紫貴の声がした。
「紫貴!?」
彼の姿は闇にまぎれ、その冷たい体温だけを私に伝える。
シオンはミズキと双子なのだ。
シオンならば、ミズキと偽りカナンを連れ出すことは容易かもしれない。
私は祈る想いで紫貴の気配のあとを追う。
カナンをシオンに渡すわけにはいかない!
闇の中に紫の閃光がほとばしった。
あまりの鋭い閃光に私は思わず目を閉じる。
一瞬の沈黙のあと
私は凍えそうに冷たい冷気を感じ、目を開け、その冷気の方向に顔を向けた。
闇の中に紫の瞳だけが妖しく浮かび上がる。
ゆっくりと近づいてくるその瞳に、月が蒼の光を照らすと、彼の姿が闇の中に徐々に浮かび上がり、彼の感情のない表情を映し出した。
彼はゆっくりと月の神子をその腕に抱きながら、私の前まで来ると立ち止まった。
「紫貴、カナンは無事なの!?」
カナンは紫貴の腕の中で変わった様子は何もなく、眠っているように見えた。
「神子は無事だ。閃光で気を失っただけだ。じきに目覚める」
「シオンは?」
「闇の力で彼の中に潜む悪のエネルギーを彼の前で放出させた。シオンは自分の中の悪に驚き、恐れを抱き走り去ったよ。カインの弟とは言っても、まだ子供なのだからな」
「まだ子供」そう言った紫貴の瞳の色に孤独の影が映ったような気がした。
「あれは、シオンだ」
風が吹いていった方向から、紫貴の声がした。
「紫貴!?」
彼の姿は闇にまぎれ、その冷たい体温だけを私に伝える。
シオンはミズキと双子なのだ。
シオンならば、ミズキと偽りカナンを連れ出すことは容易かもしれない。
私は祈る想いで紫貴の気配のあとを追う。
カナンをシオンに渡すわけにはいかない!
闇の中に紫の閃光がほとばしった。
あまりの鋭い閃光に私は思わず目を閉じる。
一瞬の沈黙のあと
私は凍えそうに冷たい冷気を感じ、目を開け、その冷気の方向に顔を向けた。
闇の中に紫の瞳だけが妖しく浮かび上がる。
ゆっくりと近づいてくるその瞳に、月が蒼の光を照らすと、彼の姿が闇の中に徐々に浮かび上がり、彼の感情のない表情を映し出した。
彼はゆっくりと月の神子をその腕に抱きながら、私の前まで来ると立ち止まった。
「紫貴、カナンは無事なの!?」
カナンは紫貴の腕の中で変わった様子は何もなく、眠っているように見えた。
「神子は無事だ。閃光で気を失っただけだ。じきに目覚める」
「シオンは?」
「闇の力で彼の中に潜む悪のエネルギーを彼の前で放出させた。シオンは自分の中の悪に驚き、恐れを抱き走り去ったよ。カインの弟とは言っても、まだ子供なのだからな」
「まだ子供」そう言った紫貴の瞳の色に孤独の影が映ったような気がした。