闇の天使~月夜の天使・番外編
今やっとわかった気がする。


紫貴には感情がないのではない。


感情を押し殺すことが、彼が孤独に耐える唯一の方法なのだ。


永遠に歳をとることがない紫貴。



「まだ」には「これから」があるが、彼は、過去も未来も存在しない無の存在なのだ。


他人の過去や未来を自ら望むと望まないとに関わらず見ることができる紫貴。


それは彼の孤独の闇を広げるだけ。



トクン。


初めて、私は自分の鼓動の音を聞いた。


私の孤独の闇が彼の孤独の闇に交わりたいと。


彼の闇に溶け込みたいと。


私の胸が張り裂けそうに、壊れてしまいそうなほど、




・・・・叫んでいるのが、聞こえていた。



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