闇の天使~月夜の天使・番外編
封印の解ける日
「いってらっしゃい!トオヤ、カナンをよろしくね」


トオヤが「わかってる」とぶっきらぼうに答える。


今夜は夏祭り。


孤児院の子供たちは皆楽しそうにはしゃいでいる。


「他のみんなも行くから今夜は少しだけ私とミズキだけで寂しいわ」


ミズキと私だけ。


いいえ、今夜はきっとシオンが来るはずだ。


ミズキを連れ帰るために。


「いずみお姉ちゃん、何買ってきてほしい?」


カナンが私を慰めるように優しい声で聞いてきた。


「そうね、ヨーヨーなんていいかもね」


「わかった!ヨーヨー買ってくるからお姉ちゃん待っててね!」


トオヤはスタスタと歩き始め、カナンはそのあとを楽しげについていく。


かわいい子たち。


私は闇が降り始めた「天使の泉」を振り返る。


天使たちの憩いの地。


何百年も前から私が護ってきたこの地。


私は「天使の泉」を護らなければならない。


月を見上げ私の使命を心で唱える。


そして私は・・・


シオンを待ち受ける覚悟を決めた。




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