闇の天使~月夜の天使・番外編
「紫貴・・・」
紫貴は自分の頬の涙を手の甲で拭うと、
「これが、涙か」
と言って、私の唇に人差し指を押し付けた。
「今の言葉はこれ以上言うな。月は決して許しはしないだろう」
紫貴の瞳からはもう既に涙は流れていなかった。
紫貴は私から離れると、割れたカップを拾い出した。
「いずみ、今まで君といて楽しかった。だが、それも今日で終わりだ」
「紫貴、なぜなの!?あなたが消えるなんてそんなことあるわけないじゃない!」
紫貴はゆっくりと立ち上がると、割れた破片の一つを自分の指に押し付ける。
「紫貴!?」
そこからは鮮血が流れ出す・・・はずだった。
強く押し付けられた破片の跡からは何も流れず、その跡さえもゆっくりと元に戻っていく。
「オレは月との契約を破った。オレはもうこの世界にはいられないだろう。月へ還る時がきたんだ。血も流れないのが、その証拠だ」
「契約を破ったって?何を破ったっていうの?」
紫貴は足音も立てずにゆっくりと私へ向かって歩いてきた。
立ち止まると、私の腕を引き寄せ両手で私の頬を覆った。
その大きな手で私の顔が真上に向けさせられたと同時に、私は紫貴の冷たい体温を感じた。
紫貴の冷たい唇が私の唇の温もりを奪う。
初めて触れたその唇から、深い闇と孤独と、
そして、情熱と愛を感じた。
紫貴だ。
これがほんとうの紫貴なんだ。
私の冷たくなった唇が彼の深い心の闇と愛に触れる。
紫貴はゆっくりと唇を離すと、紫の瞳で私をじっと見つめた。
「オレは神子以上に護りたい人ができた。それは契約違反だ。オレは月へ還る覚悟はできている」
紫貴は自分の頬の涙を手の甲で拭うと、
「これが、涙か」
と言って、私の唇に人差し指を押し付けた。
「今の言葉はこれ以上言うな。月は決して許しはしないだろう」
紫貴の瞳からはもう既に涙は流れていなかった。
紫貴は私から離れると、割れたカップを拾い出した。
「いずみ、今まで君といて楽しかった。だが、それも今日で終わりだ」
「紫貴、なぜなの!?あなたが消えるなんてそんなことあるわけないじゃない!」
紫貴はゆっくりと立ち上がると、割れた破片の一つを自分の指に押し付ける。
「紫貴!?」
そこからは鮮血が流れ出す・・・はずだった。
強く押し付けられた破片の跡からは何も流れず、その跡さえもゆっくりと元に戻っていく。
「オレは月との契約を破った。オレはもうこの世界にはいられないだろう。月へ還る時がきたんだ。血も流れないのが、その証拠だ」
「契約を破ったって?何を破ったっていうの?」
紫貴は足音も立てずにゆっくりと私へ向かって歩いてきた。
立ち止まると、私の腕を引き寄せ両手で私の頬を覆った。
その大きな手で私の顔が真上に向けさせられたと同時に、私は紫貴の冷たい体温を感じた。
紫貴の冷たい唇が私の唇の温もりを奪う。
初めて触れたその唇から、深い闇と孤独と、
そして、情熱と愛を感じた。
紫貴だ。
これがほんとうの紫貴なんだ。
私の冷たくなった唇が彼の深い心の闇と愛に触れる。
紫貴はゆっくりと唇を離すと、紫の瞳で私をじっと見つめた。
「オレは神子以上に護りたい人ができた。それは契約違反だ。オレは月へ還る覚悟はできている」