闇の天使~月夜の天使・番外編
「神子以上に護りたい人って・・・?」


胸の鼓動が大きくなる。


紫貴の言葉を祈る想いで待つ。


紫貴は一度瞳を閉じ、ゆっくりと開けると言った。



「君を愛して、そして散る」



その瞬間、階下で激しい物音が聞こえた。


紫貴はドアの方に走り出す。


「待って!紫貴!」


紫貴はドアに手をかけながら私を振り向くと、まるで少年のように、笑った・・・。


寂しげでも切なげでもなく。


その笑顔は初めて愛を知った少年のように、綺麗で無垢で喜びに満ちていた。


天使の笑顔。


紫貴・・・。


それが私が紫貴を見た、最後だった。

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