闇の天使~月夜の天使・番外編
屋根裏から階下に降りると、既に天使の泉は炎に包まれていた。


「紫貴!」


紫貴を探す私に、突然炎が轟音を立てて襲い掛かってきた。


シオンが私に向かって炎を放ったのだ。


シオンの傍らにはミズキが倒れていた。


避けきれない!


そう思った瞬間、黒い闇の霧が私を包むのが見えた。


体が凍えるほどの冷気。


紫貴、ここにあなたがいる。


私を護ってくれている。


私に放たれた炎が消滅すると、闇はそのままシオンに向かって風のように飛んでいく。


シオンは紫の閃光に包まれ、苦しそうな悲鳴を上げた。


傍らに倒れていたミズキがその悲鳴に目を覚ます。


そして、冷たい視線でシオンを見上げると、シオンに向かって紅く燃える炎の塊を繰り出した。


シオンと、炎と、闇が一体となり、轟音を立てて燃え上がる。


「紫貴ー!!」


私はシオンに向かって飛び出す。


一瞬紫の風にのって、紫貴の声が聞こえた。


「いずみ、君は一人じゃない。新しい運命を・・・生きろ」


私は強い風に吹き付けられ、後ろの壁に激しく打ち付けられた。


意識を失う直前、私の頭の中に、生まれ変わり、新しい運命を生きる自分の姿が見えた。


今の私とは違う、強くて、凛とした女性の姿。


孤独など何も感じさせない強い女性の姿。


紫貴への愛を心の奥深くに封印して・・・。


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