桜風 〜春の雪〜
‡君がくれたもの‡

春雪のいる病院は…

学校からそう遠くない場所にあった―――。

その距離を…

必死で駆け抜けたあたしは……


20分もかからずにそこにたどり着く事が出来た。


エレベーターのボタンを何度も連打したけれど、なかなか開かない扉に

あたしは息を切らせながらも階段で行くことにした。



病室は4階

偶然にも…

学校の教室と同じ階にある

春雪の元へと繋ぐ階段は………


学校の長い階段を思い出させた…。


初めてあたしの名前を呼んでくれた長い廊下…


春雪…

春雪…


会いたいよ………。


その一心で、いつまでも続く階段を上りきったあたしを……


アルコールの匂いが

出迎えた……




あの日……

初めて……

春雪と…言葉を交わした日

保健室で感じた

この匂いは


独特の空気で


あたしを包む………




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