桜風 〜春の雪〜
コンコン!
401 森定 春雪
そう書かれたプレートの部屋を
軽くノックすると……
中からは酷く憔悴した声の女性の
"どうぞ"
と言う声が聞こえた……。
家族の方だろうか……
勢いで来てしまったから、春雪のご家族がいる事なんて
考えもしなかった……
急にこみ上げてきた緊張感と、
次第に退いてくる
さっきまであたしに取り憑いていた
焦燥感…………
とっさに挨拶の言葉を
考えようと
頭はフル回転するけど…
既に酸欠状態の
頭は全く機能することなく
あたしの心と体をを切り離した。
.