桜風 〜春の雪〜
あたしは…出口に向かう……
涙の線を残して―――
この部屋から逃げ出した。
ずっと会いたくて仕方なかった……
春雪との再会も……
今では……
あたしの体に絡みつく
悲しみの塊に
形を変えてしまった。
閉ざされてしまった
扉を背に……
勢いを増して
溢れてくる涙を我慢することなく
小さくうずくまるあたしを…
あたしの大好きな、春雪にそっくりな穏やかな顔で……
彼のお母さんが
見つめていた。
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