桜風 〜春の雪〜
「…ごめんなさいね……。せっかく、来てくれたのに。」
頭をなでられてるみたいな
優しい声は……
トーンは違うけれど、春雪に少し似ている……
「…すみません…。あたし……何も考えずに…突っ走っちゃって……。」
「少し…話いいかしら?」
お母さんは、そう言うと
4階のエレベーター前にある
休憩スペースへとあたしを誘った。
一歩一歩……
春雪から遠ざかるあたしの体……
扉の閉まる……無情な音が……
何度もあたしの中で……
響いていた………。
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