桜風 〜春の雪〜

いつものように…

注文したのは焼きそばパスタとコーラ

朝から…結構ヘビーだけど……

ここに来たら頼まずにはいられない…。

あたし達は顔を見合わせて笑った。



「花梨……実は…!」


「あ、その前に…
あたし…ちゃんとアユミに謝りたい!」


急に真顔になったアユミの言葉を、申し訳なさそうに遮った…。


「花梨…もう…いいの。あたしも、花梨が大事。花梨の気持ちは…ずっと…届いてたよ?」


アユミの変わらない優しさが、あたしの荒んだ心を潤す……


「あゆみぃ〜!」

テーブルを押しのけて、抱きつきそうな勢いのあたしを…

アユミは片手で制して、話を進める


「あたしね…航と付き合うことにしたの!蓮とは、もう別れたし!」



「えぇ〜!!」


あたしの驚きを余所に

アユミは…真剣な面持ちで…

あたしを見つめた……





「花梨…大丈夫?」


「え…な、何が?」

あたしは、朝練習した笑顔を向ける


「一馬から…聞いたよ。森定のこと……。」


「……大丈夫だよ!」


「ばーか!あたしの前でだけは…素直になって…いいんだよ?」



二度目に抱きついたのは
アユミの方からだった。



もう…泣かないって…

決めたのに……

春雪……弱くて……

ごめんね……


でも……またすぐに


笑うから……


今だけは…泣かせて。




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