桜風 〜春の雪〜

「おはよ〜!アユミ!」

「おはよ!あれ…なんか…いいことあった〜?」

仲直りして以来、アユミは、毎日バス停で待っていてくれる。

たぶん…あたしの事…

心配してくれてるのかな?


ラブラブ交際中の航よりも……

何も聞かずに、あたしのことを優先してくれるアユミが…大好き。



あたしは…学校に向かうバスの中で……


あたしと春雪の結びつきを話した……。


一番に…アユミに聞いて欲しかったんだ。



アユミは終始、驚いた様子もなく………

あたしの話を黙って聞いていた……。


「花梨……森定に…会いたい?あたしは…親友だから、言うよ?
もっと…正直に生きな?後悔だけは…しないで。」



アユミは…あたしの手をきつく握りしめながら言った……。



これまで……

みんなが…あたしに言えなかった言葉………


みんな…

友達だから…

あたしの運命を左右するかもしれない…言葉は、敢えて言わないでいてくれたんだ……。



だけど、敢えてそれを口にしたアユミは

頼もしい笑顔を


あたしにくれた。


「あいたいよぅ〜!」


やっと素直な言葉を吐き出したあたしは……


そのまま、アユミの胸に飛び込んで…



久しぶりの涙を流した。



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