桜風 〜春の雪〜

長い階段を上り終わる頃には

あたし達は…笑顔になっていた……。


無理してるんじゃない…

気持ちはすっごく晴れ晴れした気分!


教室に入って

みんなにお早うの挨拶をしていると……


窓際で悲しく微笑む

一馬を見つけた………。


「一馬!どうしたの!?」

慌てて駆け寄るあたしに

みんなが不安な視線を送る…



「……春雪は、平気だよ。」


全てを察した一馬の一言…



安心したみんなは……

それぞれの席へ着いた。



「一馬…?本当、何かあったの??」


まだ不安の消えないあたしだけが

一馬の傍に残る……


一馬の表情が、小さく揺れてうっすらと涙が浮かぶ……


「春雪の婆ちゃんが…昨日、亡くなったんだ…昔から、よく遊んでもらってて……。」



「え…。…お婆ちゃんが…?」

一馬の言葉に、衝撃を受けたあたしは、食い入るように一馬を見つめる…。


「何?もしかして…知ってるの??」





「うん………。」




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