桜風 〜春の雪〜

「ご無沙汰しています。お婆ちゃんとは…中学の時に、偶然知り合って…とても…お世話になったんです。」


深々と頭を下げて、反応を待った…。


「こんな…偶然…ってあるのね………。」


微かに微笑んだ春雪のお母さんは…

うっすらと目に涙を浮かべて……


どこか遠くを見つめているようだった…



「春雪も…外出許可をもらって、来てたんだけどね…独りになりたいって…少し席を外してるのよ。」



「そうですか…春雪が…彼が元気そうで、安心しました……。」



あたしは、一礼して…

出口へ向かった……。



向かう先は……


決まってる……


あの場所へ………


あたし達の運命が待つ場所……。





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