桜風 〜春の雪〜

短いキスから目を開けると………


あたし達はどちらからともなく…

見つめ合う……


唇から伝わった

春雪の気持ち……


春雪も…同じように

感じてくれたかな…?


あたし達は…何も言わずに……


ただじっと……見つめ合っていた。


言葉にしなくても伝わる……春雪の声…

やっぱり……

あたし達は運命で繋がってるんだね…。



次第に近ずく別れの時……



あたしは…泣かなかった。

春雪に…

笑顔だけ、覚えていて欲しかったから……。



「花梨…幸せになれ…。」


「春雪…あたし…幸せになるね…。」



「離れても、花梨のこと…見守ってるから。俺の全てを……ここに置いていくよ…。」



「春雪……また……いつか…。」


降りしきる淡い幻に包まれながら、あたし達は別々の道を歩んでいく…。

サヨナラは言わないよ…。


だって…

離れていてもきっと、永遠に春雪は心の中にいるから……




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