桜風 〜春の雪〜
最期の時が近ずくにつれて……
春雪は……
嬉しそうに…
あたしの話を…したらしい……。
中でも…
お母さんから、あたしに伝えられた一つの言葉は………
一生忘れないと思う……。
「目が見えなくなったって……
最期まで…記憶が残っていれば………いいよ。
目が見えなくても思い出の中では、大切な人の笑顔が……
いつだって見える。」
そう言って……
春雪は最期に笑ったんだって…。
春雪は……
覚えていてくれたんだ……。
あたしの笑顔……。
桜の木の下で……
交わしたキスも……
幸せになるって……約束も……。
離れていても、春雪の心の中に……
あたしはいたんだね…。
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