桜風 〜春の雪〜
「オイ!いつまでニヤニヤしてんだよ!」

あたしの手を前に引っ張りながら、彼が言った。



顔の赤さは……

ちょうど夕焼けに照らされていて

そのお陰でなんとか、言い訳出来る状態になっている。



「ふふふ…――」


小さな笑い声に
彼は再び顔をしかめると…

一歩後ろを歩くあたしを振り返って

何か言いたそうな顔を見せている……。



フン!

もう通用しないんだから。

だって…あたしは知ってるから…。

相変わらず、にやけた顔をしているあたしを見て

「…?変な奴……。」


って彼は口元だけで笑った。


あ…

また、発見した…

あたしは手をブンブン振りながら

先に進んだ。



なんだか……

すごく嬉しい気持ちで……


何でだろう…?


彼の見せる一つ一つの仕草が…

新しい発見が…

蕾が一つずつ花を咲かせるように……


あたしの心を心地よく揺らした……。




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