桜風 〜春の雪〜
続いてあたしも隣に座る…
懐かしくて……
切ない思い出が、あたしの心にリンクする……
「一馬…いつも…ありがとうね。」
一馬は黙ったまま夕焼けに照らされる桜を見ていた……。
「前にさぁ…人気投票でアユミが一番人気だったって話…覚えてる?」
あたしは…だまって頷いた。
「アユミの票は、航と森定だったんだよ。で…俺は花梨に一票入れたわけ!本当は…森定も花梨が好きだったわけだからさ…トップは……花梨なんだよ!」
一馬は空を見上げたまま言った…。
どこか遠くを見つめるような、優しい瞳…。
あたしは、この優しくて強い温かさに、何度助けられただろう…?
「どうして今頃そんな話…?」
ずっと、側にあった瞳を始めてちゃんと見た気がする
「ばーか!
あの時…この話の流れで告ろうと思ってたのに、誰かさんに交わされたからさ!」
強い光を宿した一馬の瞳が、あたしを見つめる…。
「…一馬あたしの事…好きだったの?」
「だーかーらー!今でも好きなんだってば!!」
一馬からの思いも寄らない告白に………
あたしは…
固まってしまった。
びっくりしすぎて…
ううん、違うよ…。
一馬の瞳があまりにも綺麗で、吸い込まれたんだ…。
.