桜風 〜春の雪〜

しばらく掘り進めると…

頑丈に閉められた、小さな缶を見つけることができた……



何重にも包まれた袋を開けて…


缶を開けると……





4年前の空気が

一瞬にして……

未来の空気と混じり合う……。



微かに感じる……

懐かしい匂い…



そこだけは…春雪のいた時間が…

流れている………


愛おしい……過去の思い出……


中に入れられた、小さな手紙を

一馬は…大切そうに…あたしの前に差し出した……。



ドキンドキン…


胸が高鳴る…。


あの日、最後に春雪と見た夢のような世界……

微かに香る桜の香りが、あれが夢なんかじゃなかったって、あたしに語りかける……。




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