桜風 〜春の雪〜
‡ 花・風 ‡

" 花梨へ"


花梨、今君がこの手紙を読んでいるということは…

俺は…もう…傍にはいないんだよね?

そして…これを読んでいる花梨は…

何年後の君だろう?

きっと…美人になってるんだろうな?



俺も…花梨と同じ…

婆ちゃんの話を聞いてこの学校に決めたんだ。

そして、入学式の日に…
この桜の下で初めて花梨を見た…。

一目惚れだったんだ。

結局…こんなことになっちゃってさ…

…気持ちを伝えるのは諦めてた。

だから、この思いは…

今、花梨の隣にいる、一馬に託すことにするよ。

もしも…花梨が

誰かを好きになって…

俺のことで迷うことがあったら…

花梨に渡してってさ。


思い出して。

花梨……

幸せになって……って約束を


花梨は…幸せにならなきゃいけないんだよ。

思い出の中の俺じゃ…幸せに出来ないから。

俺は、花梨を幸せに出来ないから、涙を拭ってやることはもう出来ないから。

ちゃんと今を生きて?

誰かを愛して。

ちゃんと未来を生きて。
俺は、最高の幸せをくれた花梨に感謝してる。

いつも…花梨の幸せをこの場所で願ってるから。
俺のすべては、ここにあるから。

幸せな笑顔を見せて。

さよなら


君と会えて僕は幸せです。



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