桜風 〜春の雪〜
‡ 秘密 ‡
クラクラするほど、眩しい朝日。

クスクス

一人笑いを両手で隠しながら……


なんか…青春って感じ。

いつもとは全く違う軽い足取りであたしは、4階へ上っていく。



昨日、森定くんといっぱい話しただけ…


それ以外は……

なにも変わっていないあたしだけど


言葉では言えない力があたしを押してくれてる……

そんな気がした…。


ざわざわと色めき立っている4階を目前に

あたしは、少しスピードを緩めた。


次第に近づいてくる、微かな感覚……


かかとを少し引きずるような、ぶっきらぼうな足音

昨日、インプットされた、彼の足音……

それが近づくにつれて、あたしの胸も小さく飛び跳ねる…。


「おはよう〜。か、花梨…。」


「あ…。」


花梨…かぁ〜。

挨拶と同時に彼は、からかう友達を振り払うように

あたしを追い越していった。


「おはよぉ〜。春雪…」

あたしは彼の後ろ姿に、にっこり笑いかけた。



お返しの挨拶に

春雪は…

少し照れたように

赤くなった顔を

チラッとこっちに向けて

手を振った。


ドキン…

またこの感覚…

春雪の一つ一つの行動は

あたしの胸に

心地良い…

刺激を与えてくれた……。



春雪…

あたしはもう一度

心の中で…名前を呼んだ。




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