桜風 〜春の雪〜
旅行当日

中庭に朝早くから集まったあたし達は

眠い目を擦りながら、先生からの旅行の説明を聞かされている。


とは言っても

一部のテンションの上がった男子は、その話に耳を貸すことなく、周りの女子に何やら……
ちょっかいを出したりしてる……。


ふぁぁ〜


大きな欠伸をひとつして

少し涙目になりながら

退屈のあまり辺りを見渡すと―――


トクン

カァ―――!

あたしの視界の先に…



こっちを見てる春雪を発見した。



あくび見られたかも…

ちょっと恥ずかしくなって

チラッと目を反らそうとしたけど…


クスって

鼻で笑う春雪を見たら、
なんだか目が離せなくなっちゃって…


その代わりにあたしは、赤くなったままの顔で

小さく手を振った。





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