桜風 〜春の雪〜

『ねぇ…高橋君って誰派なのかなぁ〜!!』


さっきの男子の視線に気づいたんだろう

理恵はチラッと前方に目をやって

顔を赤らめた。

「もしかして…」
「もしかして…」

同時に声を上げたあたしとアユミは

「さぁ〜聞かせてもらおうかぁ〜♪」

ニンマリ笑って息を合わせた

理恵は、茹で蛸みたいに真っ赤になりながら、幸せそうに微笑んだ…。



ねぇ…アユミ

恋ってこんなにも穏やかなものなの?

あたしは知らない


恋してる喜びも

今はもう、思い出せないよ…。


やっぱり…

あたしのした恋は間違いだったのかな?

今はただ苦しいだけで

あたしには

こんな笑顔出来ないんだ。



ねえ…

アユミは…蓮君といて


……幸せ?



アユミはなにも知らずに、理恵を楽しそうに尋問しながら笑っていた…。

羨ましいくらい、綺麗な笑顔…

きっと、アユミは蓮君に愛されて幸せに違いない……

そう思うと、少し悔しくて

それでいて、ホッと胸をなで下ろす自分がいた。


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