桜風 〜春の雪〜
もうすぐ時刻は8時を回ろうとしている
夕食を済ませたあたし達は、勝負服に着替えて戦闘準備を整えた。
あぁ〜
いくら話したことがあるからって…――
あたしってば、こんな大役引き受けてどうすんのよ……
"友達連れてきたんだけど、一緒にお菓子食べよう!"
これが数時間かけて考えたお誘いの言葉だ…
変かな…?
アユミには何回も練習台になってもらって
もう、いい加減にしろって苦笑いされちゃった。
「ほら!!花梨、覚悟決めて突撃するよ!」
いつになく、目を爛々と輝かせたアユミがドアノブをガチャガチャと鳴らしながら、あたしを急かす。
『あーん…!ちょっと待ってぇ!』
さっきまでドアの前で
時間を気にしていた理恵が、突然色っぽい声を出した。
理恵…本当に高橋君のこと…
…好きなんだなぁ……
あたしにも…この気持ちはわかるよ
こんな
純粋な片思いは…
とっても幸せなの。
あたしは心の中で祈った……
…どうか…
理恵の恋が幸せな形のままでありますように…
あたしみたいに…
なりませんように…―。
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