桜風 〜春の雪〜
あたし達が泊まっているホテルは

個人鞠とした和風のお洒落なホテルだ


廊下の端々に

さり気なく活けてある季節の花ばなは

横を通り過ぎる度に、微かな甘い香りを漂わせている。


「302…302………。」

あたし達3人は目当ての部屋を探して、壁沿いに館内をさ迷った……。


「あった!302!」


早々に彼らの部屋を探し当てたアユミは


懸命に心の準備を始めるあたし達に構わず

早速チャイムを鳴らした。

ビ―――

静寂に包まれた館内に、2秒程似つかわしくない電子音が鳴った。


「ちょっ…!
アユミ待ってってば〜!」

なかなか出てこない中にいるはずの男子達に

アユミは少し苛立ちながら2回目のチャイムを響かせる……。


「こーゆうのは勢いが大切なの!」

アユミは余裕の笑顔でウィンクして見せた





やるっきゃない!

あたしも覚悟を決めて一歩ドアへと踏み出す。



満足そうなアユミの笑みと、理恵の儚い祈りが、あたしの背中を押した…。




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