桜風 〜春の雪〜
「あ!あのさぁ〜……
と、友達連れてきたんだけど……………
あ……―――
何だっけ……?
うるさいと言わんばかりに、ドアを乱暴に開け放ったのは春雪だった…。
相変わらず無愛想な彼を前に―――
途中まで言えた言葉が、一番肝心なところで
飛んでしまった……
「ハハハ……あの〜…
あーなんであんなに練習したのに、こんな短い言葉を言えないの!?
うつむいて泣きたくなってしまったあたしに、
彼は、あたしの右手辺りを指差しながら
「……それ…もしかしてお菓子?…――まぁ、入れば!みんなで食お??」
様子をうかがうように、覗き込んだ…。
正解です!
あたしは心の中で、goodサインを出しながら安堵して微笑む
後ろの2人も、あたしの失態で緊張の糸が解けたようで
口に手を押し当てて、笑いを我慢してる……
ぷくっと頬を膨らませて二人を一瞥した後
あたし達は、彼に促されて、部屋の中へと足を進めた
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