桜風 〜春の雪〜

「あ!あのさぁ〜……
と、友達連れてきたんだけど……………


あ……―――

何だっけ……?



うるさいと言わんばかりに、ドアを乱暴に開け放ったのは春雪だった…。

相変わらず無愛想な彼を前に―――


途中まで言えた言葉が、一番肝心なところで

飛んでしまった……


「ハハハ……あの〜…


あーなんであんなに練習したのに、こんな短い言葉を言えないの!?


うつむいて泣きたくなってしまったあたしに、

彼は、あたしの右手辺りを指差しながら

「……それ…もしかしてお菓子?…――まぁ、入れば!みんなで食お??」

様子をうかがうように、覗き込んだ…。


正解です!

あたしは心の中で、goodサインを出しながら安堵して微笑む


後ろの2人も、あたしの失態で緊張の糸が解けたようで

口に手を押し当てて、笑いを我慢してる……


ぷくっと頬を膨らませて二人を一瞥した後


あたし達は、彼に促されて、部屋の中へと足を進めた





.
< 46 / 204 >

この作品をシェア

pagetop