桜風 〜春の雪〜
さらに30分位時間が過ぎて……
体育館の大きな扉から
ランダムに並んで出てくるクラスメイトにさりげなく紛れ込んだあたしは、後ろから
ツンツン
ってつつく指先の方に振り返った。
「なんだ、アユミ同クラだったんだぁー。」
あたしは…彼女に作り笑顔を向けて
そんな…ありきたりな言葉を発した。
彼女とは中学からの友達で
親友で
にこやかに微笑みかける
どこからみても隙のない綺麗な笑みは…
あたしに無い
美しさを持っている。
あたしに無い
彼からの愛情を持っているんだ。
そう。
アユミはあたしの好きな人の彼女。
好きだった人の彼女。
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