桜風 〜春の雪〜
「クスクス その1票…――誰だと思う??」
一馬くんは、あたしの心を見透かしたみたいに、赤くなった顔を覗き込む……
ドキン ドキン…
次第に荒く波打つ鼓動に息を詰まらせながら
「誰??」
って…
勇気を振り絞って聞いてみた。
春雪…?
春雪なのかな…?
心の制御不能な部分で、なぜだか…
その1票が
春雪からでありますように………
って祈っていた…――
「あ…やっぱり…秘密にしとくよ。」
そんなあたしに気づいて、一馬くんが必死で話題をすり替えた…。
「えぇ!ずるい!!」
「だって、期待通りじゃなかったら…へこむじゃん?…でもさ…………ホントの一番人気は…花梨ちゃんだと思うよ…。」
え……それって、どういう意味…?
その言葉の真意を、聞きたいって思ったけれど……
真剣な彼の目が怖くて…
あたし達は、沈黙のまま
薄暗いロビーにまぶしい光を放つ、販売機の横のソファーに腰掛けた。
「………さっきの事…聞かないの?」
静寂を破ったのは、一馬くん……
「あたし、何でも白黒付けたがっちゃうっていうか……でも…、聞かない方が良いのかなって…思っちゃって……。
何でだろ…変だね…。」
あたしは、彼の瞳を見ることが出来ないまま、淡い光を見つめていた…。
「そっか…せっかく意味深に言ったのに…残念!」
「??」
「…俺、そろそろ部屋戻ってみるわ!あいつ等のことも気になるし〜。」
一馬くんの言葉の意味も、寂しげな瞳の色も……
あたしには、ピンとこなくて、ただ彼の手の動きを見ていた
「うん…なんか…ありがとね。」
段々小さくなって、暗闇に消えてゆく一馬くんの後ろ姿…
目で追っていた、彼の手の動きは一瞬で暗闇に飲み込まれて……
あたしは、霧のかかった心で…
彼の背中をぼーっと見つめた……
聞かない方がいい気がした訳じゃない……
何か聞いてしまったら
それを受け止めなきゃならない……
一馬くんが何を言いたかったのかは、わからないけど……
あたしは、見えない何かから逃げ出したんだ…。
.
一馬くんは、あたしの心を見透かしたみたいに、赤くなった顔を覗き込む……
ドキン ドキン…
次第に荒く波打つ鼓動に息を詰まらせながら
「誰??」
って…
勇気を振り絞って聞いてみた。
春雪…?
春雪なのかな…?
心の制御不能な部分で、なぜだか…
その1票が
春雪からでありますように………
って祈っていた…――
「あ…やっぱり…秘密にしとくよ。」
そんなあたしに気づいて、一馬くんが必死で話題をすり替えた…。
「えぇ!ずるい!!」
「だって、期待通りじゃなかったら…へこむじゃん?…でもさ…………ホントの一番人気は…花梨ちゃんだと思うよ…。」
え……それって、どういう意味…?
その言葉の真意を、聞きたいって思ったけれど……
真剣な彼の目が怖くて…
あたし達は、沈黙のまま
薄暗いロビーにまぶしい光を放つ、販売機の横のソファーに腰掛けた。
「………さっきの事…聞かないの?」
静寂を破ったのは、一馬くん……
「あたし、何でも白黒付けたがっちゃうっていうか……でも…、聞かない方が良いのかなって…思っちゃって……。
何でだろ…変だね…。」
あたしは、彼の瞳を見ることが出来ないまま、淡い光を見つめていた…。
「そっか…せっかく意味深に言ったのに…残念!」
「??」
「…俺、そろそろ部屋戻ってみるわ!あいつ等のことも気になるし〜。」
一馬くんの言葉の意味も、寂しげな瞳の色も……
あたしには、ピンとこなくて、ただ彼の手の動きを見ていた
「うん…なんか…ありがとね。」
段々小さくなって、暗闇に消えてゆく一馬くんの後ろ姿…
目で追っていた、彼の手の動きは一瞬で暗闇に飲み込まれて……
あたしは、霧のかかった心で…
彼の背中をぼーっと見つめた……
聞かない方がいい気がした訳じゃない……
何か聞いてしまったら
それを受け止めなきゃならない……
一馬くんが何を言いたかったのかは、わからないけど……
あたしは、見えない何かから逃げ出したんだ…。
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