桜風 〜春の雪〜
ボゥゥー
静寂の中…
何分かおきに自販機がつく大きなため息を、何度聴いただろう…?
中にたまった熱を冷ましてるのかな……?
はぁ〜
今度は自分のため息……
だけど、心のモヤモヤは晴れることはなかった。
あれから…
どの位たっただろう…?
あたしは深いため息の中で、時間の感覚を無くしていた…――。
「戻らなきゃ…」
誰もいない空間に独り言を残して
あたしは鉛の付いた腰を持ち上げる……
ふと、淡い光に目を向けると…
天井まである大きな窓からは
薄く覆われた雲を、必死で照らしながら……
淡い光を放つ、まん丸な月が
静かに浮かんでいた……
まるで…
あたしの心みたい…
あの雲が
いつか…風に流されて
晴れてゆくように
あたしの中にも
風は吹いてくれるんだろうか…??
そんなことを考えながらあたしは
もう暫く、空を見上げることにした。
雲が晴れて…
まん丸な月の姿を――
一番に見つけたかったから……。
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