桜風 〜春の雪〜
「もう…好きじゃない。」
あたしの言葉に…
春雪の指先がピクリと反応する……。
「あたし……もう好きじゃないよ。」
あたしは…もう一度春雪に向かって
今度は、穏やかな口調で……はっきりと言った。
「やっと…わかったんだ……。あたし……ずっと蓮君に憧れてて……。自分の中で…彼のこと、勝手に好きだって思いこんでた。春雪……ありがとう。」
こんなあたしの側にいてくれて…
あたしの言葉に…
しばらく聞き入っていた春雪は……
どこか遠くを見つめながら……
優しく目を細める……
あたしの気持ち………
春雪に届いたかな……?
あたしの………
生まれたてのこの気持ち……。
春雪が………好き……。
あなたがくれる、温かな空間が……
あたしに気づかせてくれた。
この………
大切な気持ち………。
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