桜風 〜春の雪〜
ハァー

心の中で

大きくため息をついて

アユミの隣へ移動する。

ちゃんと…

ちゃんと、笑えてるかな?


まだ、少しだけ痛む心に
ギュッと力を込めて……
アユミに笑いかけてみる。


アユミは何も気にとめる様子はなく、

また同クラなれたね!

なんて……

相変わらずの綺麗な笑みを浮かべていた。



ごめん。


あたしは彼女に聞こえない声で

一度だけ囁いて、


またギュッと唇に力を入れ直した。



あたし達を見送る裏庭の桜が、風に吹かれてゆらゆらと揺れて

何かを伝えるかのように、あたしの前髪に一片の花びらを落とした……





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