桜風 〜春の雪〜
……
結局、今日も…
ここに…
アユミは来なかった……。
今日こそは…
って淡い期待をいつも胸に抱くけど…
まだ…
アユミは来てくれたことがない。
でも…
大丈夫…。
いつか…
必ず仲直りしたい!
その強い気持ちだけがあたしを動かす。
持参した参考書から目を上げると……
もう7時過ぎだというのに
少し日が長くなった空は
まだ昼間の明るさを微かに残していた……。
アユミ…
大丈夫……。
あたし頑張れるよ。
そうつぶやくと
霧雨を降らせる寂しげな空は
"頑張れ"
って言ってくれてるような気がした……
春雪……
早く…
早く…
会いたいな……
明日になれば…
会えるんだよね…
そしたら――
たくさんのエネルギーをちょうだい?
それだけで
頑張れるから。
そんな思いを胸に…
空が一日の終わりを告げる頃―――
あたしは…
家へと帰っていった…。
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