桜風 〜春の雪〜

タンタンタン!


何時も生徒たちでごった返すこの階段も

今日はあたしだけのもの……。



まあ…

こんなに早く登校する人なんて…

いないよね……?


あたしは軽快なステップで、長い階段を上りきった…。



微かに香る

紙の匂い……

これが学校の匂い…

なんて…新しい発見に胸を躍らせながら…




人の気配の全くしない廊下を

カバンをブンブン振り回しながら

子供みたいにはしゃいで歩いてみる…


聞こえるのは

カバンが風を切る音と…

朝から部活動に精を出す爽やか少年たちのかけ声だけ。



教室の前にたどり着いたあたしは

ガラガラと

ゆっくりドアを開けた…


誰もいないはずの…教室…



静まり返った……妙な感覚に……


少しドキドキしながら……


あたしは…この先の世界へと

心をとばす……。







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