桜風 〜春の雪〜
3年生の教室は

校舎の4階に位置している。


一気に階段を登りあげたあたしたちは、

息を切らせながら目当ての教室へとたどり着いた。


ただでさえ、

今は学校なんて

面倒くさい気分なのに……。


これから毎日

この階段を上ると思うと
あたしは苦笑いを隠せなかった。



アユミは残念がっていたけれど、

出席番号順に決められた席は……

幸運にも

あたしとアユミを―――

窓際とドア側に分けていた。




あたしは

窓際の一番後ろの席に腰を下ろすと、

少しの間の緊張から解き放たれて、椅子にもたれ掛かって、ホッと一息ついた…。

カタン…

完全に気を抜き掛けたところで、小さな物音がして

あたしは、気怠い体を起こして、隣に目をやった…。


「………。」
あれ…

一瞬目があったのにも関わらず、

無言でそっぽを向いてしまう隣人。


普通、よろしく位言わないかぁー?

確か、この人…

隣のクラスだった……


森定くん…だっけ…





なんか…嫌な感じ。





それが、

森定 春雪《モリサダハルキ》


彼との出会いだった。




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