桜風 〜春の雪〜

………

徐々に日常の姿に移り変わる学校。




二人の視線が……

ぶつかった瞬間……――



"なんで来たんだよ。"



彼の言った

言葉が……

何度も…

あたしの胸に響いた……



予想外の一言に

凍りついたあたしの体は……


しばらくたった今でも――


瞬きも出来ない………。

床に張り付いたまま、身動きのとれない足は…

小刻みに震えていた…。


思い返して何があったのか……

理解しようとはするものの……



頭の中で何度も木霊する

彼の冷たくて…

低い…声は……


何度思い返しても……


何の答えも持っていない…




「もう…来ないから。メールとかも止めろよ。」


続いて………

去り際に耳元に響いた言葉が……


ますますあたしの心を
浸食する………



彼は…

障害物を避けるかのように

あたしの体を押しのけて


行ってしまったんだ……。



あたしの肩には


まだ…

あの感触が残ってるよ……。




考えれば考えるほど…


想えば想うほど……



膨らんでゆく……

行き場のない

絶望感…………



いくら…

考えたって………



あたしには…出口が見えてこない――――。



真っ暗な迷路の真ん中で……




あたしは何度も……


君の名を


繰り返し呼んだ。





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