桜風 〜春の雪〜
あたし達二人が教室に戻ったのは

ホームルームの終わった後だった。


ドアを開けた瞬間に、二人に集まる視線………


その中から

航と高橋君が、フライング気味にあたし達に駆け寄った。


「森定が……学校辞めるって…本当かよ!
…なんで?………」


最初に口を開いたのは航だった。


教室内にも


"なんで…?"


ってざわめきが沸き起こっていた…。


そんな彼らを

あたしは冷静に一周する……。


そこには…――

さっきまでのあたしがいるんだ……。


バカみたいに、"なんで…?"を繰り返すあたし…

そんな光景を滑稽だな…

なんて…

思ってしまうのは………



きっと―――

もう…あたしの心が壊れてしまったからだろう。



「……本当だよ。アイツはもう来ないよ。」



遂に一馬の口から

裁決が下された……。



ざわめきを増すクラスメイト達をよそに


あたしは………


一馬の壊れそうな……

ギリギリの笑顔を見つめた……。



そして…あたしは……

さらなる暗闇へと

歩を進める………。




君のいない教室…

ぽっかり空いた

隣の席は………

主をなくして

寂しそうにしてる……。




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