桜風 〜春の雪〜
‡ 思い ‡

ホームルームが終わると
一馬は、すぐにあたしを迎えに来た。

迎えに…

なんて言っても、同じクラスだから

その距離は端と端程も離れてはいないんだけど……


空っぽの頭を

一馬の一言で

満たされて

グルグルと回る渦に

酔いつぶれる寸前のあたしは

迎えがなければ

そのままなにも考えずに、サンセットに直行していたかもしれない…


一馬はあたしの机の横にかけてある鞄を軽く肩に担ぐと、

今朝の

辛さを押し殺した…笑顔で…

あたしを裏庭へと誘った。


一馬………

いったい

何を抱えているの?


あたしは……

これから、どんな事実を…

知るんだろう。





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