【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「もう帰るんだ?まだ時間あるんだから少し話そーよ?あ、俺2年の朝井浩太。よろしくね〜」
「あっ…私は1年の平山です」
いきなりされた自己紹介に続けて私も名前を教えた。
差し出された手につられて手を握る。
…うん。やっぱり軽い…かな…
雰囲気とか話し方とか全てが軽い。
「知ってるよ。平山ちゃん有名だもん」
「…有名?」
握った手をぶんぶん振り回す朝井さんからやんわりと手を解く。
「うん 有名。かかわいいってね」
バチリとウインクする朝井さんは、最早軽いとかの問題ではないのかもしれない。
「え…」
私有名…だったの?
初耳の自分の噂話。
……噂。
……………。
「後は…例の学年1位の奴とデキてるとか〜?合宿で何かやらかしたとかね」
「何もやらかしていないし、デキてもいないです」
悪気がないのか、本人目の前に尾鰭のついた噂話をする朝井さんに嫌な気持ちになる。
「そうなんだ〜ま、噂なんてそんなもんだよな。機嫌悪くしたなら悪かったな?」
私の目をまっすぐ見て言う朝井さん。
「…別にいいです。と言うかもう授業始まるので私行きますね」
「お互いバイト受かってると良いね〜」
屋上のドアを閉める時朝井さんのやけに間延びした声が聞こえていた。