【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「柾樹これ6番テーブルな!」
「はい」
厨房に入っていた修平さんから料理を受け取り6番テーブルに運ぶ。
バイト中。
今日から悠士も一緒に働いている。
悠士はまだ初日だから皿洗いだけれど。
「ここって超ハードだよね〜」
少し客が減って暇になった時に愚痴るように呟いた悠士。
「すぐ慣れるって」
確かにハードだけど皿洗いしかしてない悠士の仕事は全然ハードじゃない。
お前も酔っ払いに絡まれてみろ。皿洗いがどんだけ楽だったかわかるはず。
接客して初めて人間相手の仕事が一番面倒だよな、と思った俺は多分接客業は向いていない。
…いや、絶対だ。
「悠士は柾樹と同じクラスなんだろ?」
修平さんがヘバってる悠士にコーヒーを差し出して尋ねる。
…修平さんの優しさにはだいたい裏がある。
そのコーヒーはさしずめ賄賂ってとこか…
横目で修平さんを見てつつつらつらと思う。
…哀れ、悠士。
お前は生贄だ。
「そうです。同じクラスですよ〜」
「じゃぁさ、コイツの彼女わかる?」
…………俺の事吐かせるつもりかよ…
生贄の生贄が俺である事を知った俺はげんなりした。