【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊤
「…あいつの気持ちなんて全然わかんないっすよ」
空になったグラスをテーブルに置けば中の氷がカランと音を立てて崩れる。
本当に、わかんねぇ。
あいつなんでいつも俺の事あんな目で見つめてくるんだよ…
拒んだり受け入れたり意味わかんね…
「…お前、女に不自由してなさそうなのに…。まぁ他人の気持ちがわかる奴なんていねーわな。まぁ飲めよ」
修平さんは自分が飲んでたジントニックを差し出して俺の肩を叩く。
「…まぁ俺も今の彼女と知り合って付き合うまで1年かかったけどな」
何かを思い出したのか目を細めてぼんやり視点の定まらない修平さんがいきなり話し出した。
「え…?」
この軽そうな修平さんが?
思わず聞き返してしまった。
「俺の彼女当時他に付き合ってた奴がいたんだけどさ、その彼氏がすっげー暴力野郎でさ。大変だったんだよ。別れた後も男が怖くなってた時期とかあってさ。すっげー苦労して落したんだよな〜」
口を綻ばせて話す修平さんはかなり穏やかな笑みを浮かべている。
「…惚れてますね」
「まーな…って俺の話はいいからさ!お前!!お前の話だろ!今は」
自分から話したくせに恥ずかしくなったのか修平さんは話を変えてきた。